2001年「日の丸・君が代」強制反対ホットライン・大阪報告

 ついに大阪でも始まった露骨な「良心の自由」の侵害!

 今年のホットライン活動は、昨年に引き続き弁護士の協力を得て、10日間の日程で電話相談を行いました。そこには合計で24件の相談や情報提供などがよせられました。(件数については、別表のとおりです)今年は、電話相談が昨年よりも若干減りましたが、それは、「日の丸・君が代」強制が弱まったのではなく、むしろ大阪各地に市民運動が結成され、「思想・良心の自由」を守る取り組みが始められたことで、各地域に直接相談できる体制が整いつつあることによります。その中では、露骨な人権侵害の事例がいくつも報告されています。今後、各地域の市民運動と協力し、府教委を追及していきたいと思います。
 また、今年の電話相談の特徴は、「日の丸・君が代」の強制に反対する取り組みの報告や情報提供が多かったことです。保護者として、「日の丸・君が代」を卒業式に持ち込まないように申し入れを行い、参観日にビラまきをしたことの報告。同じく保護者として「内心の自由をどう保障するのか、具体的配慮をしてほしい」と要求し、司会が「自由」だと言うとか、プログラムに記載するなどの例を示し、「内心の自由」に従って行動した人が不利益を感じないようにすることを要求したことの報告。卒業式当日、父母と教職員融有志で「あなた方には、立たない自由、歌わない自由があります」とのビラをまきをし、その後、日本会議大阪の機関誌「日本の息吹」の中で、『信用失墜行為』に当たるとして問題にされているとの報告など。ホットラインが運動交流の場としても、活用されていたことになります。


府教委の「日の丸・君が代」強制圧力の昨年以上の強まりとホットライン活動

 今年の「日の丸・君が代」の強制は、昨年以上に厳しくなりました。府教委は、府議会での自民党議員への対応や「大阪の教育を正す会」、産経新聞などからの攻撃に対して、昨年の三点セットに加え、式当日「不要な発言をするな」と校長に強く指導し、「良心の自由」の事前説明を一切認めませんでした。
 とりわけ自民党議員や右翼、産経新聞に標的にされた市教委は、極めて強硬な「指示」を行っています。高槻市では、「児童生徒が全員起立して歌えるよう指導を徹底」し「いわんや教職員は率先垂範して起立・斉唱することは当然のこととして指導を徹底」するよう教育長通知がでました。枚方市では、市教委から「教職員の起立については、起立しない場合、再度、起立の指示」が下りました。
 これらの徹底圧力の強化を反映してホットラインにも深刻な電話相談がよせられました。教職員からは、校長が「式の中で歌詞付き君が代」を表明した事に対して、式の中で退席することが処分の対象になるかどうかの相談。卒業式の練習で子どもたちに「君が代を歌いましょう」と指導するように校長から指示されている事への相談。「君が代」のピアノ演奏を拒否したら、校長が身分の不安定な講師に演奏させようと指定ることへの相談、等々。保護者からも、強制しないように校長に申し入れをしても、校長が態度を変えないことへの相談などが寄せられました。
 ホットラインでは、弁護士から法的な位置づけや根拠などの説明をしていただき、必要な場合は改訂版「一問一答集」を送るなどの対応をしました。


露骨な人権侵害の発生!府教委の責任追及を!

 今年は、ホットラインに直接相談のあったものの他に、大阪各地の市民運動に著しい人権侵害の事例が相談されています。ここまで来たか!と驚かざるをえないものばかりです。私たちが、心配してきたことが、この大阪でも現実のものとなりました。全ての責任は、「日の丸・君が代」を「思想・良心の自由」をかえりみず強引に強制してきた府教委と市教委、校長にあります。ホットライン・大阪でも地域の市民運動と協力し、徹底して府教委の責任を追及していきたいと思います。

高槻市での事例(高槻の市民運動からの情報)                 
 
*A小学校では、「君が代」の事前指導で、在日韓国人生徒への差別事件がおきた。音楽の授業で「君が代」の練習があり、4年生の在日韓国人の子どもが耳をふさぎ、歌わなかった。その後、教室に帰ってクラスメイトから「なぜ歌わないのか」とせめられ、言い合いになり、その時「韓国人」という差別発言を受けた。その後、子どもの保護者が学校に抗議の申し入れを行っている。

*B小学校では、6年生の在日韓国人の子どもと日本人の子ども5名が、卒業式に「日の丸と君が代はやらないでほしい」と校長に申し入れた。そして、卒業式前に担任が子どもたちを個別に呼び出し、圧力をかけた。担任は、一人一人に対して「指揮の時どうするの?」「親には相談したの?」「退場以外にも、友だちとして協力できることはほかにいっぱいあるでしょう?」と恫喝を加えた。このような圧力を跳ね返して、卒業式当日は10名ほどの子どもたちが起立せず、歌わなかった。

*C小学校では、修了式当日、卒業式に起立しなかった5年生の子ども全員を残して、校長が「この本(学習指導要領)には、『国旗・国歌は尊重するように』と書いてある。」「国旗・国歌が必要ないと思う人、必要だと思う人、わからない人」のいずれかに手を挙げさせた。
 その後、3人の子どもたちが校長に抗議をした。子どもは「(憲法は)平和主義でしょう?」と校長に質問し、校長は『せめてきたらどうするねん。」「背くときは、先生がやめさせられる」と発言した。

枚方市での事例(枚方の市民運動からの情報)                 

*D小学校。「国歌斉唱」で着席している子どもたちを「立ちなさい」としかりつけ起立を強制した。(複数の学校で) 

*小学校。式練習の時に、教頭が「E中学校の卒業式では、みんな立っていたので、みんなも立って歌ってほしい。」と起立をうながした。

*小学校。[職員、卒業生起立」「在校生起立」「来賓、保護者はお起立ください」と3度にわたって執拗に起立要請をした。